民泊を運営できる「用途地域」とは?制限地域と調べ方を解説

2025.07.04|民泊運営・清掃

民泊を運営できる用途地域とは

民泊は、訪日外国人をはじめとする旅行者を受け入れる宿泊施設のひとつです。

ホテルや旅館で予約が取れなかった人に対して、使用していない部屋や住宅を貸し出すことで収益化が可能となります。

しかし、どのような場所でも開業できるというわけではなく、民泊を運営する際は「用途地域」を確認しましょう。

本記事では、民泊を運営できる「用途地域」について、運営が制限されている地域と調べ方を解説します。

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用途地域とは

用途地域とは、都市計画法に基づいて市街地の用途を区分し、建築物の種類や規模を制限する制度です。

地域の秩序ある発展を目的に、住居系・商業系・工業系など13種(または12種)に分類されており、それぞれに建築可能な用途が異なります。

民泊を合法的に運営するには、この用途地域の種別と、その地域で認められる用途を確認することが不可欠です。

民泊の形態によって制限の内容も変わるため、制度の理解が重要です。

 

民泊運営が可能な用途地域

民泊運営が可能な用途地域

民泊を合法的に運営するためには、施設の所在地が適切な用途地域に属していることが前提です。

こちらでは、民泊運営に関する法律ごとに、運営が可能となる地域区分について整理します。

下記はそれぞれの制度と用途地域の関係性を表した表です。併せてご確認ください。

法制度 営業可能地域 主な特徴
旅館業法(簡易宿所) 商業・準工業・一部住居系(自治体判断) 年間営業日数制限なし。許可制。規制厳しめ。
住宅宿泊事業法(民泊新法) 全住居系で届出可能(ただし自治体の条例制限あり) 年間180日まで。届出制。柔軟な立地対応。
特区民泊 特区内で自治体が認可した区域(大阪市など) 日数制限なし(2泊以上の規定はあり)。住居専用地域でも条件次第で可。

 

旅館業法

旅館業法に基づく民泊は、ホテルや旅館と同様の施設として取り扱われるため、運営には比較的厳しい制約が課せられ、営業可能な用途地域も限定的です。

具体的には、以下の用途地域での営業が認められています。

  • 商業地域
  • 近隣商業地域
  • 準工業地域
  • 特定行政庁が認めた第二種住居地域

 

一方、第一種住居地域や住居専用地域では、基本的に旅館業法に基づく民泊の営業はできません。

また、営業にあたっては旅館業法に基づく許可申請に加え、建築基準法や消防法など複数の法令への適合も求められます。

 

住宅宿泊事業法(民泊新法)

住宅宿泊事業法に基づく民泊、いわゆる「民泊新法」は、年間180日以内の宿泊営業を可能とする制度です。

この制度の最大の特徴は、「住宅」としての性格を持つ施設に限り、比較的広い用途地域で営業が認められている点にあります。

原則として、全ての住居系用途地域で届出を行うことで営業が可能です。

ただし、各自治体は条例により、営業日数や時間帯、地域の制限など独自の上乗せ規制を設けることができます。

 

特区民泊

特区民泊は、国家戦略特別区域法に基づいて認可される制度で、大阪市はその指定区域のひとつです。

この制度のもとでは、旅館業法や住宅宿泊事業法とは異なり、180日という営業日数制限がありません。

また、建築物の用途が「共同住宅」や「戸建住宅」であれば、住居系地域でも営業が可能とされます。

 

大阪市における特区民泊の条件

大阪市においては、次の条件を満たす場合、特区民泊の届出により住宅専用地域でも運営が可能です。

  • 滞在日数が2泊3日以上であること
  • 適切な防火対策が講じられていること
  • 定められた清掃・報告体制が整っていること

 

運営者は、地域住民との共生や安全対策を徹底した上で、届け出を行い、認定を受ける必要があります。

参考ページ:当社コラム「大阪で特区民泊を始めるには?必要になる手続きや申請方法を解説!

 

「特別用途地区」について

特別用途地区とは、都市計画法に基づき、用途地域内においてさらに詳細な建築用途の制限を設けた地域を指します。

用途地域に加え、「文教地区」や「風致地区」といった別途指定された地域でも、独自の制限により民泊営業が難しい場合があります。

このような地域では、たとえ旅館業法や住宅宿泊事業法に適合していたとしても、民泊の運営が許可されないケースがあります。

 

大阪市においても、特別用途地区として指定されている区域では、自治体の判断により民泊の営業を制限している場合があります。

そのため、事業計画を立てる際には、あらかじめ地域の指定状況を十分に確認することが不可欠です。

用途地域や特区制度の解釈に不安がある場合は、行政窓口や専門家に早めに相談することをおすすめします。

 

用途地域の調べ方

用途地域の調べ方

民泊を運営する前に、対象物件の用途地域を正確に把握する必要があります。

用途地域の確認方法としては、行政窓口での照会やインターネット上のマップ活用が有効です。

 

行政窓口で用途地域を確認する

自治体の都市計画課や建築指導課では、土地の用途地域を窓口で確認することが可能です。

とくに大阪市の場合、都市計画図面などを用いた詳細な照会が可能であり、担当者から民泊に関する助言を受けることもできます。

 

用途地域マップや自治体マップを活用する

各自治体の公式ウェブサイトでは、用途地域を示したマップが公開されています。

たとえば大阪市では、「用途地域図閲覧サービス」により、対象地の住所を入力するだけで地域の用途が確認できます。

地図情報の確認により、民泊の可否判断を迅速に行えます。

 

おわりに

本記事では、民泊を運営できる用途地域について解説しました。

用途地域とは、都市計画法に基づいて市街地の用途を区分し、建築物の種類や規模を制限する制度です。

旅館業法や民泊新法、特区民泊によって用途地域は異なるため、事前に確認しておく必要があります。

民泊を運営する際、そもそも民泊を運営できる地域なのかを始めに確認しておきましょう。

 

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大阪民泊清掃代行編集部

【民泊運営専門家】榊原 啓祐(さかきばら けいすけ)
ハウスクリーニングや壁紙再生事業でフランチャイズ本部事業等を立ち上げ、僅か5年で400店舗以上を出店。民泊事業には2015年8月に参入し、現在では民泊運営と共に、リゾート地での貸別荘もスタート。ハウスクリーニングの経験から、民泊清掃の第一人者でもあり、これからの民泊業界を牽引する若き経営者。

【民泊運営アドバイザー】田尻 夏樹(たじり なつき)
バチェラー3に出演。温泉ソムリエの資格を持ち、観光系インフルエンサーとしての経験から宿泊業、民泊業に参入。 地域の魅力やおすすめスポットを発見し、快適な滞在に関する情報の発信も。