民泊オーナー必見!消防法の基礎知識と必須の消防設備ガイド
2024.12.27民泊運営・清掃民泊では利用者が快適な生活を送れるだけではなく、災害に見舞われた際に利用者や財産の安全性を確保できる環境が重要です。
民泊新法や国家戦略特区法のほか、旅館業法においては安全性の確保を目的として、消防設備の設置が義務付けられています。
消防設備には消防法に則る必要がありますが、何が必要なのか・どうすればいいのかなど、民泊オーナーの頭を悩ませる課題のひとつとなっているのではないでしょうか。
本記事では、消防法の基礎知識と必須の消防設備について解説します。
民泊における消防法の基礎知識
内閣府では、消防法の目的を下記のように定めており、災害が発生しても生命や財産を保護することが目的といえます。
- 火災を予防し、警戒しおよび鎮圧し、国民の生命、身体および財産を火災から保護するとともに、火災又は地震等の災害による被害を軽減し、もって安寧秩序を保持し、社会公共の福祉の増進に資することを目的とする。
民泊においてはオーナーが施設に不在のことがあり、利用者がどのような生活を送っているのかを把握できないことがあります。
しかし、消防法によりどのような使い方をされても、利用者および財産を守る必要があるのです。
そのためには火災報知設備や誘導灯の設置、防炎物品の仕様など、さまざまな条件が課せられています。
参考ページ:総務省消防庁ホームページ「民泊を始めるにあたって」
民泊で必須の消防設備
こちらでは、民泊で必須の消防設備をご紹介します。
消火器
消防法では、次のいずれかに当てはまる場合、消火器の設置が必要です。
- 建物の延べ面積が150平方メートル以上のもの
- 地階・無窓階・3階以上の階で床面積が50平方メートル以上のもの
火災はやけどや建物の倒壊などさまざまなリスクを含んでいるため、消火器を利用して早急な消火が求められます。
自動火災報知設備
自動火災報知設備は火災の熱や煙を感知し、警報音や音声により利用者に火災を知らせるための設備です。
熱感知器・受信機・発信機・音響装置で構成されており、熱感知器は「定温式」と「差動式」に分かれます。
なかにはスプリンクラーが搭載されているものもあり、いずれも利用者の安全性を向上させることができます。
また、延べ面積が300平方メートル未満などの場合には「特定小規模施設用自動火災報知設備」の設置が可能になる場合もございます。
誘導灯
誘導灯は人が出ていく様子や、出口までの矢印を緑色で表現したサインであり、ビルなどで見ることができます。
複数階層にわたる民泊では災害が発生したときにパニックに陥りやすく、出口を見失ってしまうことがあります。
そのような利用者を安全に出口へ誘導するため、民泊では誘導灯の設置が義務付けられています。
スプリンクラー
スプリンクラーの設置は場合により必要となる設備であり、管轄となる消防署で確認することができます。
消火器と同様に、スプリンクラーは火災による被害を最小限に抑えるための設備です。
建物の階層や面積によっては、全体にスプリンクラーの設置が必要となります。
必須としましたが、条件に寄るため、消火器が不要な施設もあれば、非常用照明が必要になるケースもあります。
どの設備を設置するべきかは自分で判断せずに、必ず所轄の消防に事前確認及び必要書類を提出の上、進行することが大切です。
民泊の消防設備の具体例
下記は、一戸建ておよびマンションやアパートといった共同住宅別の、民泊における消防設備の消防庁が提示している具体例です。
一戸建て住宅で民泊を行う場合
- 民泊の種類:家主不在型民泊
- 建物の延べ床面積:160平方メートル
- 民泊部分の延べ床面積:60平方メートル
- 民泊を始めるにあたり新たに設置が必要となる設備:特定小規模施設用自動火災報知設備、消火器、避難口誘導灯、階段通路誘導灯
- その他の対応:防炎物品(カーテン、じゅうたん等)の使用
共同住宅(アパートやマンションなど)で民泊を行う場合
- 民泊の種類:家主不在型民泊
- 建物の延べ床面積:560平方メートル
- 民泊部分の延べ床面積:60平方メートル
- 民泊を始めるにあたり新たに設置が必要となる設備:携帯用照明器具
- 延べ面積が500㎡以上の場合、民泊の有無によらず建物全体に自動火災報知設備の設置が必要なため、新たな設置は必要ありません。
- 消火器や誘導灯が既に設置されている場合は新たに設置する必要はありません。
- その他の対応:防炎物品(カーテン、じゅうたん等)の使用
消防設備設置時に注意すべきポイント
民泊を運営するために消防設備を設置する際は、下記に注意しましょう。
- 電気工事が必要な場合は業者に依頼する
- 必要となる設備は行政や専門家に確認する
- 試験運転を行い、設置後に設置届を管轄となる消防署に提出する
何をどこに設置するべきなのかなどは一般の方ではわからないことが多く、専門家に相談することをおすすめします。
その後、設置した設備の動作に異常がないかを確認し、管轄となる消防署に設置届を提出して受理されれば完了となります。
参考ページ:総務省消防庁ホームページ「誘導灯の設置が免除される要件の例」
おわりに
本記事では、民泊における消防法の基礎知識について解説しました。
民泊では災害が発生しても生命や財産を保護できる設備が必要であり、設備には消火器や自動火災報知設備などが含まれます。
一戸建てや共同住宅などで設置するべき設備が異なるため、管轄となる消防署に確認しておきましょう。
利便性だけではなく、利用者の安全性についても考慮することで、利用者からの信頼を得られるのです。
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【民泊運営専門家】榊原 啓祐(さかきばら けいすけ)
ハウスクリーニングや壁紙再生事業でフランチャイズ本部事業等を立ち上げ、僅か5年で400店舗以上を出店。民泊事業には2015年8月に参入し、現在では民泊運営と共に、リゾート地での貸別荘もスタート。ハウスクリーニングの経験から、民泊清掃の第一人者でもあり、これからの民泊業界を牽引する若き経営者。
【民泊運営アドバイザー】田尻 夏樹(たじり なつき)
バチェラー3に出演。温泉ソムリエの資格を持ち、観光系インフルエンサーとしての経験から宿泊業、民泊業に参入。 地域の魅力やおすすめスポットを発見し、快適な滞在に関する情報の発信も。
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